臨床治験の費用対効果分析
葉酸による循環器疾患予防の治験を例に
American J of Public Health, Vol.88,No.1, pp.61-67 [1998 January]
98年2月16日岡本担当
治験着手前の見積もり(事前分布)・・・二変数の正規又はベータ分布
→事前分布に基づいて現在の「後悔」を測定する。
治験によって明らかにされる結果(事後分布)・・・標本サイズで左右される。
1事前分布を使って2nの患者を治療することによる予想「後悔」を計算
2事後分布を使って(N・2n)患者を治療する予想「後悔」を計算
3治験費用(nの大きさに比例)
↓
Σ(1+2+3)を最小にするnを求める。
〔葉酸治験の仮定〕
確率
ふつうの人が5年間無事に過ごせる確率 85.7%(プラシーボ群)
葉酸を飲むことを勧められるためには、飲んだ人の5年間無事率は少なくとも
86.8%まであがってもらわないと困る(=リスクを7.8 %下げる)。
以上の結果を証明できるためには、対照(プラシーボ )群と葉酸投与群の確率の95%信頼区間
は
対照群・・・・・83.7%〜87.7%
葉酸投与群・・・82.9%〜90.7%
実行率(もし葉酸が有効とわかったらその結果に従う人の割合)=50%
治験をしなかった場合の葉酸服用率=0
費用
葉酸代(年間)5ドル
ホモシスティンの検査料115ドル
1年間の延命料として社会が許容できる最高額=5万ドル(末期腎不全医療費)
治験費用( 一人当たり)5000 ドル
健康な60歳の人の年間医療費1600ドル
・ ・1,300 ドル(軽症)
脳卒中を起こしたときの治療費 1年目17,300ドル、2年目・・ 53%
・10,300ドル(重症)
12%
心筋梗塞の治療費 1年目11,000ドル、2年目以降2,860 ドル
QOL補正
苦痛や不便によりQOLの減少は以下のとおり
・無症状で何の薬ものまない人 =1
・葉酸やプラシーボを毎日のまねばならない人=0.995
・軽症脳卒中 =0.75
・中症脳卒中 =0.39
・重症脳卒中 =0.12
・虚血性心疾患 =0.9
年利3%で現在価格に換算
結果
治験をしなかった場合の後悔=1,428 ドル(計算法示していない)
35〜84歳の無症状人口 1億1700万人
高ホモシスティン者(15%) 1755万人
$1428×1755万人=251 億ドル
最適治験標本規模は17,310人(n)
葉酸が有効とされる無事率の上昇=1.1 %
治験をした場合の後悔=46ドル(計算法示していない)
治験費用5000ドル×2n=1億7310万ドル
治験参加者の予想される後悔=3300万ドル(正しくは130 万ドル)
治験結果に従った人の後悔
1755万人・17,310人×2
------------------------×46ドル=4億1400万ドル(正しくは 4億285 万ドル)
2
治験結果に従わない人の後悔
251 億ドル÷2=125 億ドル
計131 億ドル