学童への全員へのB型肝炎ワクチン接種の費用対効果分析
American J of Public Health, Vol.88,No.11,pp1638-44
99年1月11日岡本
【背景】移民や薬物乱用の影響でB型肝炎発生率が10万人あたり1┳30に増加。92年ブリ
ティッシュコロンビア政府は4万6000人の小学6年生全員にワクチン接種プログラム開始
(350 万カナダドル)。それまでは、キャリアの母から生まれた新生児やハイリスクの大
人のみで、学童には行なわなかった。
【データ】
費用対効果分析・・・マルコフコホートモデル(図1)
・4人の肝臓病専門医に4急性期、4慢性肝疾患の予後シナリオをアンケート
・6つの肝疾患の148 人の入院・外来カルテをチェック
・カナダ入院データベースを過去10年分サーチし、全ての肝疾患入院費をチェック
直接経費 新生児 学童
ワクチン代 11ドル 20ドル
接種費用 24ドル 25ドル
計 35ドル 45ドル
直接効果(医療費)
入院一日当たり費用は大ビクトリア病院協会のデータ
医師費用はブリティッシュコロンビアの診療報酬点数表より
間接効果(損失労働)
94年のブリティッシュコロンビアの労働統計より性・年齢別時給を推計(家事労働につい
ては週210ドル)・・・さらにこれを性・年齢別B型ウイルスキャリア率で補正
疫学情報
ワクチン接種時の抗体保有状況・・
ワクチン接種許諾状況 ・92年の259 人の6年生対象の抗体調査
ワクチンの効果・・・・・・・・・
ワクチン効果の推定
いったんついたHBs 抗体が10IU/L以下に落ちる年間割合
1 St St
−・・・* ln(・・・) ・・・はt時点で抗体を有している割合
t So So
仮定は表1参照
【結果】
もしワクチンを接種しないと・・・
46,000人の学童のうち4,100 人が感染、400人がキャリア化。
┳ワクチンは感染の63%、キャリア化の47%、B型肝炎死の51%を予防できる。
44ドルのワクチン接種で一人当たり35ドルの医療費を節減、労働損失を考慮すると75ド
ルの効果(計350万ドル)
損益分岐点を1人・年あたり5万ドルとすると(人一人1年間生かすための費用が5万
ドル以下なら「買い」)・・・
急性感染を一人減らす費用161ドル
キャリア化を一人減らす費用2135ドル
一人1年生かす費用2145ドル
控えめな推定(ワクチン効果は10年間しかもたない、キャリア化率は半分など)でも有
効。またカナダ全体のB型肝炎発生率(10万対11.4)でも一人1年生かす費用は6,200 ド
ル。米国にあてはめても26,000ドル。