高齢者の収縮期高血圧のリスク−−メタアナリシス
The Lancet Vol.355, March 11, 2000
【仮説】収縮期血圧が160 以上だが拡張期は95未満(すなわち脈圧の大きい)の高齢者(
60歳以上)の高血圧のリスクと治療効果に関するメタアナリシス
【対象研究】収縮期血圧高齢者のみの3RCTと、他の5RCTから収縮期高血圧高齢者
のデータを抜き出した(INDANAデータベース)。治療群7936人、対照7757人、計15693 人
〔Table.1〕
【治療効果の測定】治療群の血圧の平均値−対照群の血圧の平均値
「平均への回帰」希薄化バイアスを加味(開始時および平常血圧の比較)した。
-->無事に2年間経過した5489人について開始時、1年、2年後の血圧平均値を算出して治
療効果を補正〔Table.4 〕
開始時 2年後 その差
161mmHg 〜193.8mmHg -> 152.2mmHg 〜169.8mmHg 32.8mmHg->17.6mmHg
〔Table.3 〕では総死亡率のハザードは開始時収縮血圧が10mmHg高くなるごとに1.14
「平均への回帰」希薄化バイアスを加味すると・・・
平常時収縮血圧が10mmHg高くなるごとに1.14^1.9=1.26
8RCTの均一性はZelen's testで評価
【リスクの測定】総死亡率、循環器疾患発生率、循環器合併症の発生率、脳卒中(死亡お
よび生存)発生率
【結果】
7757人の対照群の結果
開始時の血圧と2年以内の死亡率の関係
->収縮血圧と正、拡張血圧と負の相関(!)〔Figure.1〕
平常(バイアス補正)収縮期血圧10mmHg上昇するごとに
->総死亡率、循環器疾患死亡率、合併症発生率、脳卒中発生率が有意に増加。
->拡張期圧は有意性に達せず(=上がっても死亡率は有意には増えない)
パラメトリックアプローチ〔Table.3 〕ノンパラメトリックアプローチ〔Figure.2〕
治療群とのオッズ比(治療効果)のメタアナリシスエクセルファイル
全てのRCTが均一だったので、単純に全てをたし合わせた。
収縮期高血圧の治療はどんな方法でも、死亡率等を改善。脳卒中を30%減少させ、循環
器疾患発生率を25%減少させた。
【結論】これまで高血圧の治療に関するメタアナリシスは拡張期圧に関心を置いたものが
多かったが、拡張期圧はあまりリスクにならない。むしろ収縮期圧が高く拡張期圧が低い
脈圧開大形の高血圧こそリスクであり、積極的に治療する必要がある。