経口ニュラミダーゼ阻害剤(オセルタミビル)のインフルエンザ予防効果
        NewEngland Journal of Medicine  99年10月28日号
               2000年11月24日 岡本

 インフルエンザ予防は、不活化ワクチン接種だが、抗原変異がはげしいのでワクチンを
うっても大流行をふせげない。そこで非特異的な抗ウイルス薬が有効。現在アマンタジン
が承認されているが、副作用も大きい。ニューラミダーゼ阻害剤が注目されており、経鼻
のザナミビルの他、経口のオセルタミビルがあり、その予防効果を無作為割り付け治験し
た。
【対象者】18〜65歳の健康な人を広告で募集(すでにワクチン接種歴のある人は除外)
【方法】流行シーズンの12週間前に健康診断を実施。地域において流行のきざし(地域内
医療機関の発熱患者の増加など)があったら治験施設に参加者を呼び、無作為割り付けで
3群にわけてオセルタミビル6週間投与(プラシーボ、75・錠一日1回、一日2回)。投
与前に血中インフルエンザ血球凝集阻止抗体価を測定。
 参加者は毎日日記をつけて、体温、服用時刻、他の服薬、7つのインフルエンザ症状(
悪寒、発汗、痛み、疲労、頭痛、咳、のどの痛み、鼻閉)を記録。
 3、6週後に再診、8週目に血中抗体価測定。
 他に鼻、喉よりウイルスを検出。
【有効性評価】投薬中の6週間中の検査で確認されたインフルエンザ罹患(血中抗体価4
倍以上上昇、鼻喉ウイルス検出、の少なくとも一方)、かつ症状の出現(呼吸器症状と前
身症状の両方が1つ以上)。
 この他、検査は陰性だったが症状があったもの、その逆も調べた。また培養(アカゲザ
ルの腎臓細胞に植えて7日間培養)によってウイルスが検出された有症状者も調べた。
【分析法】
当初予定された標本数
 インフルエンザ発生率10%
 オゼクタビルの予防効果70%
 と仮定すると┳ 3群各250 人=750 人
しかし実際は発生率2.4 %(1559人中38人)┳2つの治療群をまとめて分析
 p値・・・Fisherのexact test
  信頼区間の推定・・・Noether の方法(比のCIの推定法)
【結果】予防効果
[Table2]検査陽性かつ有症状者の発生率(罹患率)
 罹患率は4.8 %┳1.3 %と74%減少(CI53〜88%)
 75・と150 ・で有意差無し
 流行のはげしかったヴァージニアの方が高い。
[Table3]他の定義によるインフルエンザ発生率
 培養でウイルス検出された者      87%減少
 検査陽性かつ37.8度以上の高熱の発生率 82%減少
 検査陽性者(傷病の有無問わず)    50%減少
 検査陰性だがインフルエンザ様症状者  22%減少(有意差無し)
[Figure1]投与開始後の検査陽性有症状者の発生者数
 オセタミビル投与群で投与中止後に発症した者5人あり(標本数の少なさのため効果残
存期間の推定困難)。
【考察】同一著者による、人工的に発症させたインフルエンザによる無作為割り付け治験
結果(投稿中)は自然発生のインフルエンザの本研究と合致している。1日1錠でも十分
効果持続する。副作用も軽微。
 もうひとつの抗ウイルス薬ザナミビル(経鼻吸入)は67%の予防効果。経口薬の本剤と
経鼻薬のザナミビルとの比較が必要であろう。
 大流行の時には、とくに必要のある患者集団には不活化ワクチンに加えて、これらニュ
ーラミダーゼ阻害剤を投与するべきであろう。